財産的基礎または金銭的信用
建設業許可を受けるためには、請負契約を履行するに足りる財産的基礎または金銭的信用を有していることが必要です。
具体的には次のいずれかを満たす必要があります。
- 純資産の額が500万円以上であること
ここでいう純資産とは、貸借対照表上の純資産の部の純資産合計額をいいます。 - 500万円以上の資金調達能力があること
資金調達能力としては、現金を持っている場合だけでなく、担保にできる不動産を有していることや金融機関から資金の融資を受けられる能力があるかどうかで判断されます。
具体的には、預金残高証明書、融資可能証明書、固定資産納税証明書、不動産登記簿謄本などを提出し、証明します。
※残高証明書は建設業許可申請の直前の日付であることが必要です。 - 許可申請直前の過去5年間について許可を受けて継続して建設業を営業した実績があること
このように経営業務の管理責任者に続き、新規で取得される方にとってはたいへんな条件かもしれません。
請負契約に関して誠実性があること
建設業許可を取得するためには、請負契約に関して不正または不誠実な行為をする恐れがないことです。
建設業許可を受けようとする者が法人の場合はその法人、役員、支店長などが請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかでないことが必要です。個人の場合は、その個人事業主またはその支配人が対象となります。
不正な行為とは、請負契約の締結や実際に作業を行うことについて、詐欺や脅迫、横領などの法律違反の行為のことを言います。
また、不誠実な行為とは、工事の内容や工事期日などの請負契約について違反する行為のことを言います。
ただし、ここで言う不正または不誠実な行為に該当するかどうかは、建設業について不正または不誠実な行為を行ったことにより、免許取消処分を受け、または営業の停止などの処分を受けて5年を経過しない者を言います。
欠格要件に該当しないこと
建設業許可申請の要件に、欠格事由に該当しないことというものがあります。これは、法人で言えば役員が、個人で言えばその事業主本人、支配人が、その他支店長などがこの欠格事由に該当していないことが必要となってきます。
具体的には、次のすべてに該当していないことが必要となります。
- 建設業許可申請書または添付書類の中に重要な事項について虚偽の記載がないこと
- 建設業許可申請書または添付書類の中に重要な事項について重要な事実の記載が欠けていないこと
- 建設業許可を受けようとする者が成年被後見人、被保佐人または破産者で復権を得ない者でないこと
- 建設業許可を受けようとする者が、不正な手段で建設業許可を受けたことにより、その建設業許可を取り消されて5年以内でないこと
- 建設業許可を受けようとする者が、その建設業許可の取り消しを免れるために廃業の届出をしてから5年以内でないこと
- 建設業許可を受けようとする者が、建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼしたことがないこと、または公衆に危害を及ぼす恐れがないこと
- 建設業許可を受けようとする者が、請負契約に関し不誠実な行為をしたことで営業停止を命じられ、その停止期間中でないこと
- 建設業許可を受けようとする者が、禁錮以上の刑に処せられその刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けることがなくなってから5年以内でないこと
- 建設業許可を受けようとする者が、建設業法や建築基準法などの法令や暴力団員、暴力行為等の処罰に関する法律などに違反し、刑法などの一定の罪を犯し罰金刑に処せられ、刑の執行を受けることがなくなってから5年以内でないこと
建設業許可申請時点でこのいずれかに該当していた場合、建設業許可は受けることができません。
専任技術者
専任技術者とは、その業務について専門的な知識や経験を持つ者のことで、各営業所で専属となって、その業務に従事することが必要となります。
そのため、各営業所で1人必ず必要となります。
具体的に専任技術者となることができる要件は、次のいずれかを満たす必要があります。
- 建設業で専任技術者になろうとする者は、土木工事業など専門的な学科を卒業後、高卒(旧事業学校も含む)の場合は5年以上、大学(高等専門学校・旧専門学校を含む)の場合は3年以上の実務経験がある者。
- 学歴・資格が無い場合には、建設業許可を受けようとする業種について10年以上の実務経験を有する者。
- 建設業許可を受けようとする業種に関して、1級土木施工管理技士などの一定の資格を有する者。
- その他、国土交通大臣が個別の申請に基づき認めた者。
※実務経験とは?
建設業許可を受けようとする建設工事の技術上の経験を言います。具体的には、建設工事の施工を指揮、監督した経験と実際に建設工事の施工に携わった経験のことを言います。ただし、建設現場の単なる雑務や事務仕事などは、建設工事の実務経験とは認められません。
注意しなければならないことは、専任技術者は他の事業所の技術者と兼任することができないことです。同一営業所内において、2業種以上の技術者を兼ねることはできますが、他の事業所または営業所の技術者と兼ねることはできません。
経営業務の管理責任者
経営業務の管理責任者とは、法人の場合は常勤の役員、個人の場合は事業主本人または支配人が該当します。
経営業務を総合的に管理し、執行した経験を持つものをいいます。
経営業務の管理責任者に必要な経験とは?次のいずれかを満たす必要があります。
- 許可を受けようとする建設業に関して、5年以上の経営業務の管理責任者(法人の役員、個人事業主、支店長や営業長など)としての経験を有していること。
- 許可を受けようとする建設業以外の建設業に関し、7年以上経営業務の管理責任者としての経験を有していること。
- 許可を受けようとする建設業に関し、7年以上経営業務を補佐した経験を有していること。
※補佐とは、法人に次ぐ人などで、個人では妻や子、共同経営者などが該当します。法人の場合や個人の場合であっても、この補佐に関しては個々の事例によって判断されますが、あまりこれが認められた事例はありませんから補佐で建設業許可を申請する場合には、まずはお問い合わせください。
※法人の役員の場合には、申請のときに常勤でなければなりません。
※建設業で経営業務の管理責任者となる者は、専任技術者の要件も満たした場合、1人で両方とも検認することができます。ただし、違う事業体の経営業務管理責任者や専任技術者とは兼ねることはできません。